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身元保証等高齢者サポート事業の実態調査

 高齢者の一人暮らしや高齢夫婦の二人暮らしの世帯が増加し続けて、親族らの支援が受けられない方が入院・施設等入所時の身元保証、日常生活の支援、死後の対応等への心配は尽きません。これらに対して、一般社団法人、NPO法人、株式会社等が運営・経営する「身元保証等高齢者サポート事業」の需要が高まっています。しかし、以前にトピックスで触れたとおり(厚労省・身元保証のガイドラインについて2023.3.16投稿https://homelawyer.net/archives/114)、事業者が経営破綻してトラブル等も発生して、利用者が安心できるサービス・事業者の確保が課題となっていました。そこで、総務省が、消費者保護の推進とともに、事業の健全な発展のために必要な行政上の措置の検討するため、行政機関による事業者への実地調査を含めた全国調査を初めて実施し、その結果が2023年8月7日に発表されました。

 調査結果で指摘された問題点は、

・契約主体は加齢等により判断能力が不十分になることも想定される高齢者

・死後のサービスを含み契約期間が長期

・サービス提供方法、費用体系が多様

・契約金額が高額で、一部費用の支払いはサービスの提供に先行

・契約内容の履行を確認しにくい

ということです。

 そこで示された留意点・対応の方向性は、

・公正な契約手順の確保(重要事項説明書の作成や契約締結時の第三者の立会い等)

・預託金の管理方法のルール化

・成年後見制度への円滑な移行

・契約履行の確認や担保は個々の事業者だけでは対応に限界

・解約時の返金ルールや費用・料金内容の一層の明確化

・寄附・遺贈における本人の自由な意思の尊重と判断能力の確認

・啓発資料の充実・周知

となっています。

 現在は、身元保証等高齢者サポート事業を直接規律・監督する法令・制度等はなく、民法等に基づく自由契約です。そして、事業開始後10年に満たない事業者が約8割、従事職員数20人以下の事業者がほとんど(従事職員数5人以下が6割、契約者数9人以下が1/3)という新しく小規模な事業のようです。やはり、個々の事業者だけでは対応に限界があり、厚生労働省、法務省、総務省、消費者庁が関わり、国としての対応が望まれます。            

 

身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果(概要) (sharepoint.com)

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