遺言は、文書で残すこと、必要な記載内容等の条件を満たさないと法的効力がありません。子ども達全員が聞いていても、その遺産の分け方に納得していなければ、結局は相続争いになってしまいます。
法律上決められた人(法定相続人)に、法律が決めた割合(法定相続分)で相続させることになります。それ以外に自由に分け与えたくてもできません。法定相続人がいないと、基本的に遺産は国のものになります。
遺言がない場合、銀行や法務局では、遺産分割の話し合いをして決めた相続人全員の署名・実印(印鑑登録証明書も付けて)の遺産分割協議書か、家庭裁判所で遺産分割調停をした調書や審判書と、相続人全員の関係がわかる戸籍一式を持って来て下さいと言われます。有効な遺言があれば、遺言で指定された人だけで手続ができます。
遺言は、自分だけでも法律上の形式を守れば作れます。
法律上の形式は2つあります。
自筆証書遺言・・・自分で紙に手書きします。全文手書き、作成日付、署名押印等がチェックポイントです。(※目録部分は手書きでなくとも良いと法改正されました)
公正証書遺言・・・公証役場の公証人(国の公証事務を担う公務員)に作成してもらい、保管もされます。
自筆証書遺言は手軽ですぐ作れますので、まずは自分の考えを整理してみるという意味で、一度作ってみることをお薦めします。しかし、形式を守らないと無効になったり、以下の点が心配です。
◆「自筆証書遺言」のリスク
「公正証書遺言」は、上記(1)〜(4)の心配はありません。弁護士に依頼すれば証人を用意する手間も心配して頂く必要はありませんし、事前に内容を詰めて望むことができます。
年齢制限はありませんし、若くても問題ありません。反対に、認知症になってしまえば作れません(遺言能力がないと作っても無効とされ、後々に認知症の程度などで争いが起きます)。
遺言書を書いた後、気が変わったり財産状況が変わってしまうかもしれないと心配されるかもしれません。しかし、途中で気が変われば、新しい遺言をつくれば良く、古い遺言書を一々撤回する必要はありません。遺言書は日付が新しいものがご本人の最終意思として優先され、日付の古いものは内容が新しいものと矛盾する限りで無効になっていきます。
遺言に書いていた遺産が後に減ったとしても、その部分だけ無効となりますので心配ありません。